経営者が知っておきたい用語と手法②「返報性の原理」

経営者が知っておきたい用語と手法②「返報性の原理」

売る側が使う心理テクニック「返報性の原理(法則)」とは。

スーパーで試食したら、買わないと申し訳ないかな、という気分になったことはありませんか?
生命保険の営業担当が時間を取って何度も説明してくれたらこれだけ丁寧に説明してくれたから購入しようかな、という感覚で商品を購入したことはありませんか?
「好意には好意で返す」「恩を返す」といった、キーワードに代表されるように、貰いっぱなしの状況を居心地悪く感じるので、何かしらお返しをしたくなる心理状況を利用して商品販売を行う心理を「返報性の原理」と呼びます。

これは日常生活でもよく見られるシーンです。
「まずは無料でお試し30日間をはじめたらそのまま継続して利用している」
「いつでも返品OKと言われても結局使い続けている」
「試着してサイズを確認されたらそのまま購入した」

特に「お試し」と「無料」の効果は絶大だと言われています。
住宅の購入においても、展示場を回っていると多くのプレゼントをもらって帰るに違いありません。春夏秋冬に合わせてプレゼントを用意しています。特にファミリー層を意識したものであるため、すぐに使えて思わず無料でもらえるならもらいたい、と思わせる物を用意しています。

返報性の原理の具体例に、人から好意ある施しを受けたり、親切にしてもらったりしたときに、それ以上の好意や親切をもってお返ししたいと思う心理があります。これを「好意の返報性」と言うそうです。身近でたとえるなら、バレンタインデーへのお返しイベント的なホワイトデーがあります。バレンタインデーの義理チョコは「いつもお世話になっています」という気持ちから、ホワイトデーの返しは、「好意の返報性」という心理が働いています。

バレンタインデーに限らず「返報性の原理」は、恋愛においては日常的に用いられているようです。プレゼント攻撃という手法があります。とにかく好きな相手にプレゼントを贈りまくって、「これだけ厚い好意に何とか応えないと申しわけない」という相手側の心理に持ち込みます。学生時代に「あの子、君のことが好きなんだって」と友達から聞かされた時、それまでは意識していなかったのに、突然相手のことが気になりだした経験はありませんか。これは、友達から聞くという前号の「ウィンザー効果」と今回の「返報性の原理」の相乗効果といえる事例でしょう。

「返報性の原理」という心理テクニックの活用には、過度な行為は倫理的な問題を起こしうるということに気をつけたいと考えています。「プレゼントをあげたのだから、倍以上のお返しをしなさい」など相手に迫れば、それは脅迫行為とみなされかねません。また、美容サロンやカルチャースクールなどの無料体験などで、体験入学の参加者に露骨な勧誘をもちかけると、「あの無料体験は勧誘がひどい」などという悪評に繋がりかえって集客が減ることになりかねません。
返報性の原理のビジネス活用は有効ですが、最低限の節度を持つことは必要です。一歩間違えば詐欺や脅迫の行為として捉えられてしまいかねないからです。

心理テクニックなど、私は全く関係ない!という方もいらっしゃるかと思いますが、私は絶対に詐欺にあわない、と言っているようなもので、そういう方こそこうした心理テクニックに掛かりやすいと思ってください。

ここで大事なのは「返報性の原理」とおう営業テクニックがあることを知ることです。自分自身を俯瞰してみる癖を付けることです。優秀な営業マンは、ただ目標に向かって売りつけてやろう!と思っているわけではないのです。顧客の心理行動を知るための手段としてこうしたテクニックを使っています。

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