コンサルタントの先輩から、経営者に役立つメルマガが来ましたので、紹介させていただきます。
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■「信用保証制度の改正と企業のライフサイクル」 20180305
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昨年6月の第193回通常国会において、信用保証制度を定める中小企
業信用保険法が改正されました。それに伴い信用保証協会の信用保
証制度が大きく変わり、今年の4月からはこれまでと同じようには
利用できなるということはご存じだと思います。
これからは、中小企業が融資を受けるには、金融機関にも、保証協
会にも自社をアピールすることが必要です。
今回の信用保証制度改正は、中小企業のライフサイクル(ライフス
テージともいう ここでは以降ライフサイクルとします)に応じて
具体的な見直しが行われました。
企業のライフサイクルの中でも、今回の信用保証制度改正では、成
熟期前半(拡大期)と、成熟期後半から衰退期(再生期)が中心と
なっていることです。
ここで、企業や事業のライフサイクル(ライフステージ)について、
その特徴を簡単に振り返っておきましょう。
●企業のライフサイクルの特徴
マーケティングの理論において、プロダクト・ライフサイクル(製
品やサービスには寿命がある)が存在するように、事業にもライフ
サイクル(=寿命)があるのです。
ライフサイクルは、大きく次の4つに分けてとらえられます。
①「導入期」 ②「成長期」 ③「成熟期」 ④「衰退期」
ここではその特徴ともいうべきものだけを取り上げておきます。
①導入期
商品やサービスが、まだ記録知られておらず競合も少ない時期です。
まだ知らないということで、マーケティング費用がかかり赤字ない
し利益は得られない時期です。
②成長期
商品やサービスが市場に浸透するにつれ、新規参入も増えてくる時
期です。商品やサービスの価格が崩れはじめる、説明が雑でも売れ
る時期です。
利益は出始めますが市場でのシェアを伸ばすことに重点が置かれる
時期です。
③成熟期
商品やサービスが市場に浸透するにつれ、大手企業が進出してきま
す。売り上げも頭打ちとなっりますので、いかに売り上げを維持し
ていくかが重点となり、また次の主力事業をはじめる必要でもあり
ます。
④衰退期
商品やサービスは市場に浸透し、業界全体の売上が下がってくる時
期です。どんなに頑張っても売れない時期になってきます。その事
業からの撤退も視野に入れる必要が出てきます。
以上が、事業のライフサイクルの振り返りです。
企業が成長・発展していくためには、製品・サービスだけでなく事
業内容も、ライフサイクルの時期や時代に応じて戦略を立て直し、
進化し続ける必要があるということです。
事業のライフサイクルに合った戦略を立てるためには、まず、自社
の事業がライフサイクルのどの時期にあるのか、その現状をしっか
り見極める必要があります。
事業がどのタイミングにあるかによって、打つ手は変わってくるか
らです。
●信用保証(信用補完)制度見直しの考え方
信用補完制度は中小企業の資金繰りを支える重要な制度であり、中
小企業がライフステージの様々な局面で必要とする多様な資金需要
(小口、創業、承継等)や、大規模な経済危機、災害等により信用の
収縮が生じた場合における資金需要等に一層対応できるものとして
いくことが重要です。
しかし、信用保証への過度な依存が進んでしまうと、金融機関にと
っては、事業性評価融資やその後の期中管理・経営支援への動機が
失われるおそれがあるとともに、中小企業にとっても資金調達が容
易になることから、かえって経営改善への意欲が失われるといった
副作用も指摘がされています。
このため、中小企業の資金需要に一層きめ細かく対応するとともに、
信用保証協会と金融機関が連携して中小企業への経営支援を強化す
ることで、中小企業の経営改善・生産性向上を一層進める仕組みを
構築することが必要であるという考え方の下、今般の見直しが行わ
れたのです。
このことは、ご認識、ご理解しておいてほしいことです。
●事業性評価融資
「事業性評価融資」とは、融資の判断を決算書の内容や保証・担保
だけで行うのではなく、事業内容や成長可能性等も評価して行う融
資のことです。
中小企業等経営強化法によると、企業のライフサイクルに応じ、導
入期(創業期)は、創業支援、衰退期後半は、廃業支援、成熟期の
後半から衰退期初期を事業性評価で支援というように分けているか
らです。
こうしたことの理解を深め、自社Gどう対応していくのか、同事業性
を評価してもらうのかを、事業計画書などにまとめ、アピールして
いくことです。
今回は、金融機関からの借り入れ環境の変化についてを取り上げま
した。
ぜひ、参考にして自社に当てはめてください。
今回は以上です。
渡邉ビジネスシステム研究所 中小企業診断士 渡邉 勲
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