◆コンサルタントが知っておくべきビジネス用語⑤◆「レジリエンス」

◆コンサルタントが知っておくべきビジネス用語⑤◆

「レジリエンス」

今回のキーワードは「レジリエンス」です。

我が国に甚大な被害をもたらした2011年3月11日の東日本大震災は、
日本国民の災害に対する危機意識を高める大きなきっかけになりました。
国や地域、企業も将来発生する可能性が高い首都圏直下型地震や、南海トラフ大地震、
富士山噴火等の大規模自然災害に備える必要があることを教訓として突きつけられました。

これらを受けて政府は、2013年12月11日「国土強靱化基本法」を公布・施行しました。
“強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法”
が正式名称です。
同法は、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・社会の構築
のために、「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」を推進し用というものです。

では強さとしなやかさとは、具体的に何でしょうか。
政府が掲示している国土強靭化基本計画のアクションプランは、政府や自治体向け
のメッセージ性が高く、多くの中小企業には対応が見えてこないようです。
中小企業の多くが「強靭化」の前に、資金や過当競争などの問題を抱えており、
ナショナル・レジエンスは、具体性がなければ空論となってしまいます。

著者が考える中小企業にとってのレジリエンスは、
「市場環境を捉えた上でしなやかに生き残る力」と捉えています。

皆様ご存知の富士フィルム株式会社の話しです。
当社は写真フィルム、印画紙、乾板など写真感光材料の製造販売を行っていました。
しかし2000年ごろから一気にデジカメが台頭し、フィルム写真の市場環境は激変し、
フィルム市場は瞬く間にデジカメ市場に取って代わられました。

コダックという企業はその流れの中でかたくなに写真フィルムにこだわり、
企業としての存続が困難になってしまったのです。

一方の富士フィルムは“しなやかに”デジカメ市場に参入し危機を乗り切ります。
しかし、そのデジカメ市場も2010年頃には飽和してしまいました。
そこで富士フィルムは、それ以前に自社の”強み”であるフィルム技術を活かし、
化粧品事業、医薬品事業への準備を着々と進めました。

さらに、PCやテレビの液晶画面におけるディスプレイ素材を提供することで、
新たな収益基盤を構築し、しなやかに新規業界に参入し、強靭な収益基盤を持つ
企業体として高い評価を得ています。

これは大手企業だから取れた手段だとは言い切れません。
中小企業であっても、自社の得意分野、機能をどう活かせるか、
どのような事業体とチームを組めば新たな商品開発ができるか、
そうしたことを考え、実行することがレジリエンスであると言えます。

激変する時代をしなやかに生き残るために中小企業が取れる手は限られています。
“多職種連携”が今後の中小企業経営のキーワードになるでしょう。
私が所属する経営財務支援協会が提言している“集合知力・利他大心”も
レジリエンスの意味を含有しています。

激動の時代を生き抜くためには胸襟を開いて協同できる仲間づくりが欠かせません。

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執筆者紹介
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山本広高
(BFCA経営財務支援協会 取締役)

群馬大学工学部大学院卒業後渡米し、フロリダ国際大学にてMBA取得。
外資系コンサルティング会社にてERP導入などITコンサルティングに従事。
退職後、経営財務支援協会取締役、株式会社THINCESS代表取締役に就任。
大企業から中小零細企業まで規模、業種を問わず、事業計画策定や、
サービス開発のプロジェクトに携わっている。
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